『徒然草句解』の注釈態度  巻之一を中心に

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  • The Method of Tsurezuregusa-kuge as a Commentary

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抄録

本稿では、近世に出版された数ある徒然草の注釈書の中から、『徒然草句解』(1661年刊)に焦点を当てて、この注釈書の特徴を明らかにするとともに、徒然草自体に内在する問題意識を掘り起こすことを目指す。  近世前期に刊行された各種の徒然草注釈書と『徒然草句解』を比較することによって、『徒然草句解』の注釈態度が、従来言われてきたような、儒学の立場からの注釈というよりは、むしろ『源氏物語』や『枕草子』や和歌などを通して、徒然草の本質に迫ろうとする傾向が顕著である事実を明らかにする。  また、『徒然草句解』は、数多くの箇所で、徒然草の連続する章段間の照応に着眼する注釈を付けており、この点に『徒然草句解』の新しさと達成があると評価できる。  さらに、徒然草注釈書を、研究的な詳細なものと、読みやすさに力点を置いた一般向けの簡略なものに大別するならば、『徒然草句解』がその中間に位置すること、および、そのスタンスこそが、徒然草という作品を広範な読者たちに開くと同時に、徒然草の奥深い世界に分け入る道標となっていることを明らかにする。

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