宮崎安貞『農業全書』と「薬種」栽培法の意義 : 国民生活の視点からみた輸入漢方(長崎貿易)と在来薬種との関連||ミヤザキ ヤスサダ ノウギョウ ゼンショ ト 「ヤクシュ」 サイバイホウ ノ イギ : コクミン セイカツ ノ シテン カラ ミタ ユニュウ カンポウ (ナガサキ ボウエキ) ト ザイライ ヤクシュ トノ カンレン

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タイトル別名
  • Yasusada Miyasaki's An Encyclopedia of Agriculture Nogyo Zensho and the Significance of Cultivation Techniques of“Crude Drugs" : -the Relationship Between the Imported Chinese Medicine“Nagasaki Trade"and the Domestic Variety from the Viewpoint of the Then National Life-

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抄録

前著、『近世日本の「重商主義」思想研究-貿易思想と農政-』(御茶の水書房、二〇〇三年)では、近世日本の国民生活(重商主義)がフランスのそれにやや近い農業型「重商主義」であるとの解釈を提示した。フランスとの違いは、近代黎明期のフランスが海外貿易と植民地経営をする一方で、自給型・輸出型農業経営をも同時に行うといういわば両輪型「重商主義」であったのに対し、近世の日本では、長崎貿易にみるように対外貿易が厳しく制約され、大船建造の禁と並行する海外渡航・帰国の禁に代表される「鎖国」下における農業・自給型「重商主義」であったことにあった。本稿では、鎖国=農業自給型とする前著の解釈が、はたして妥当であるか否かを検証する一手段として、長崎貿易における主な輸入品の一つであった漢方と、在来の和方(自生・栽培薬種)との関係に着目しておきたい。すなわち、長崎貿易における輸入漢方が、どの程度「国民的」であったか否かを検証する手立てとしての和方(在来薬種)への注目である。以下、その手始めとして、本稿では、元禄十年(一六九七年)刊行の宮崎安貞『農業全書』(貝原楽軒刪補)をとりあげる。本論では、同書の特徴を自序・凡例・農事総論などに現代語訳(筆者訳)を通してみたのち、同書における在来和方(薬種)の紹介と栽培法を同様の手法でみた上で、これを改めて再評価しておきたい。

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