丸山眞男のナショナリズム観

書誌事項

タイトル別名
  • マルヤマ シン オトコ ノ ナショナリズムカン
  • マルヤマ マサオ ノ ナショナリズムカン
  • M. Maruyama and nationalism

この論文をさがす

抄録

本稿は,戦後直後の丸山眞男のナショナリズム観--および市民社会論--を考察するものである。結論は以下の通り。第1に,丸山のナショナリズム観は,各民族に,平等に独立と自由を尊重しあう権利を承認する「純粋形態」としての近代的ナショナリズムを原理として成立しているが,これは歴史的に根拠がない。第2に,丸山は,帝国主義段階でのナショナリズムを,改めて近代的ナショナリズムをもって変革しようとしたが,前者が後者の「必然的」な転化形態であることを正当に評価していない。第3に,丸山は超国家主義批判において戦前日本ナショナリズムの前近代性=封建性を際立たせたが,これによっては,かえって日本社会のもつ近代的階級的民族的諸対立という,ナショナリズムを成立させる根拠が曖昧にされた。第4に,アジアに対する列強の帝国主義ないし超国家主義の加害責任を問題にする視座が,丸山のナショナリズム観では後退している。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ