漢代黄河下流域の釣魚図と観漁図について

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タイトル別名
  • カンダイコウガ カリュウイキ ノ チョウギョズ ト ミリョウズ ニ ツイテ
  • Han Dynasty Pictorial arts of Fishing in the Lower Reaches of the Yellow River

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抄録

本論は漢代黄河下流域における地域の様相や地域的まとまりの要因を知るための手段として、漢代の墓葬装飾(画像石)のうち、漁撈に関する図像「釣魚図」「観漁図」(本稿では便宜上このように命名している)を取り上げ分析した。山東丘陵地の西部では前漢後期の墓から「釣魚図」が、後漢中後期の祠堂画像石から「観漁図」が固定化された配置で複数出土している。筆者は2015・2016年度に現地調査を実施し、画像石を実見したが、これによって得た材料で、二つの図像には継承関係があることを指摘した。また、描かれた建築物の性質を文献資料から明らかにすることで、二つの図像における水辺が小規模な水利施設であり、范蠡『養魚法』に範を取った養魚池である可能性を指摘した。これら二つの図像は、時間および分布地にズレがあり、養魚池という水利技術が人の移動あるいは水の連環により伝播したと想定できる。小規模水利施設の存在は、今後黄河下流域の地域形成を解明する上で重要な要素となるだろう。

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