藍澤南城における杜甫

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  • アイ サワ ミナミジョウ ニ オケル トホ
  • Du Fu (杜甫) in Aizawa nanzyou (藍澤南城)

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Abstract

藍澤南城には詩文集『三余集』全十七巻の著作がある。南城は杜甫について、「是れ余の折衷の本由する所なり」と述べている。杜甫の詩の根底には事実に即して描写するという基本的な態度があり、南城は杜甫が詩史と呼ばれているのはそうした実録によってであると考えている。南城の詩論、実況説もこれに基づいたものである。また、南城は杜甫の詩は古今の風を兼備していると考え、それに基づいて、自分の「折衷」を考えて詩作に生かしている。「折衷」とは、その対象に対して最も自分の気持ちにかなった詩作の表現方法を選ぶことである。この考え方は江戸期の詩人の「折衷」とは異なるもので、南城独自の考え方である。南城は江戸期の他の詩人が行っているような、杜甫の詩を典故として用いることはあまりしていない。南城の詩には、杜甫だけではなく江戸期の他の詩人の影響もあるが、その詳細は今後の課題となる。

Journal

  • 大東文化大學中國學論集

    大東文化大學中國學論集 33 1-28, 2015-12-31

    東京 : 大東文化大學大學院文學研究科中國學専攻院生研究會

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