新しい倫理学のために(2)

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タイトル別名
  • Outlines of a New Ethics (2)
  • アタラシイ リンリガク ノ タメ ニ 2

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抄録

type:論文(Article)

この稿では、前稿に続けて、いよいよ<人間が生きる>という唯一無比の事態の考察へと筆を進めねばならないが、まずはどうした考察にとってもっとも適切な枠組みについてある程度まで論じておく必要がある。前稿の「Ⅳ.<生>の二つの類似」の考察の結果として私は、「もし人生にも、私たちがそれに乗り出すにあたってそうした願いがあるとすれば、それが成就された人生こそが本人にとって善い生だということになるだろう。」と書いた。それは、善いマラソンと善い旅との類比的考察から得られた暫定的な想定であった。その場合、α)願いから<善き生>を同定する方式は、「私自身はこういう人生を生きたいと願っている。だから、そう生きられるならば、それが私にとって善い人生だ」の形になるだろう。それに対してβ)「人生とはかく生きるべきもの」との知があるとすれば、<善き生>は「人生はこれこれの目的をもつ。その目的の実現に向けて歩まれる人生が善い生だ」という形で定められるだろう。これは、<善い生>を自分に定めていく基本的な二種の構えであるように思われる。

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