十二指腸MALTリンパ腫の3例

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当科で上部消化管内視鏡検査を施行して十二指腸に病変を認め、病理組織学的にmucosa-associated lymphoid tissue lymphoma(以下MALTリンパ腫)と診断した症例は3例であった。症例1は51歳、女性。十二指腸球部前壁に表面にびらんを伴う比較的なだらかな立ち上がりの不整な隆起性病変と、胃角後壁に褪色調のびらんを認め、生検で両者よりMALTリンパ腫を認めた。肉眼型は隆起型、Lugano国際会議分類(以下Lugano分類)に基づく臨床病期はstage Iと判断しHelicobacter pylori(以下HP)陽性のため、除菌療法を施行し、除菌2ヵ月後に完全寛解となった。症例2は63歳、男性。十二指腸球部に多発する白色調の小隆起を認め、生検でMALTリンパ腫を認めた。肉眼型はmultiple lymphomatous polyposis(以下:MLP)型、Lugano分類stage Iと判断した。HP陽性のため除菌療法を施行し、除菌6ヵ月後に部分寛解となった。症例3は38歳、女性。十二指腸球部前壁に白色調顆粒状粘膜が癒合しなだらかな隆起性病変を認め、生検でMALTリンパ腫を検出した。肉眼型は隆起型、Lugano分類stage Iと判断した。HP陽性のため除菌療法を施行し、除菌6ヵ月後に完全寛解となった。十二指腸MALTリンパ腫の本邦報告29例と自験3例を併せて検討したところ、十二指腸球部に好発するMLP型ないし隆起型の形態を呈する症例が多く、およそ3割に胃MALTリンパ腫を合併していた。臨床病期はほとんどがLugano分類stage Iであり、HP除菌が比較的よく奏功していた。(著者抄録)

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