環境景観に対する好悪感の規定因 : 認知モデルにもとづいた予測的評価法

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タイトル別名
  • カンキョウ ケイカン ニ タイスル コウアッカン ノ キテイ イン ニンチ モ
  • A Cognitive Analysis of Preference for Landscape : The Predictors Model

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説明

「感性情報処理」研究の枠組みの中で、景観の好悪感の規定因を探る実験を行った。74名の被験者に、風景写真70枚(解析は66枚)の好き嫌いを5段階尺度で評定してもらった。風景の要素は、新しい建造物、舗道、人工的植栽および自然林などで構成されている。つぎに、景観の特徴を的確に記述すると想定される8個のpredictor、すなわち広大性(spaciousness)、避隠性(refuge)、統一性(coherence)、明瞭性(regibility)、複雑性(complexity)、神秘性(mystery)、同一性(identifiability)、自然性(nature)を選定した。66枚の風景についてそれぞれの特徴を示す程度を3段階で判定し、それをカテゴリー値と呼ぶ。好悪感とカテゴリー値のあいだで、重回帰分析を行ったところ、神秘性、統一性、明瞭性は正の、複雑性は負のpredictorであることがわかった。この内容を平たく述べると、「入り込んでいけるような風景は好まれる。まとまりのよい風景、わかりやすい風景が好まれ、ごちゃごちゃした風景は嫌われる」ということになる。自然性のpredictorはうまく機能しなかったことを除くと、景観の好悪度評価に関してpredictor変数を規定因として記述するというアプローチは、全体としてみれば、一定程度の成功をみせた。自然性のカテゴリーが不安定となったのは、整備されていない緑をカウントしたためと予想された。

The present study attempts to construct an information-processing model for ‘kansei' evaluation: the predictor model. An experiment was conducted to ascertain the validity of this theoretical position. Preferences for urban environments containing contemporary buildings,tended nature,ordinary natural setting,and so on,were studied as a function of eight predictor variables: spaciousness,refuge,coherence,legibility,complexity,mystery,identifiability,and nature. Regression analyses revealed three variables as independent positive predictors of preference: mystery,coherence,and legibility,and one variable as negative predictor: complexity. The results support the usefulness of the predictor model of environmental preference.

収録刊行物

  • 総合都市研究

    総合都市研究 (56), 37-46, 1995

    東京都立大学都市研究センター

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