農村に暮らす : 藍澤南城の田園詩

書誌事項

タイトル別名
  • ノウソン ニ クラス : アイ サワ ミナミジョウ ノ デンエンシ
  • Life in A Farm Village : Aizawa Nanzyou(藍澤南城)'s idayles

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説明

江戸後期の儒者藍澤南城は、越後柏崎の地に私塾三余堂を経営していたが、農業を重視し、田園詩を多く作っている。その詩は単に農民や農村を題材として描写しようとしただけのものではなく、風土風俗に関わるものが多く含まれている。それは実録であり、歴史の記録としての意味を持つと南城は主張する。南城が言う「実況」の詩では、実録の精神を基本として、さらにそこに創意が加えられ、詩的感興が伴う作品になっている。この作詩の方法には菅茶山の影響が見られる。南条の田園詩における特徴は北国の風土が多く詠われていることである。その詠い方は、厳しい自然のために困窮する庶民の生活を悲観的に見ようとはしていない。南城は、自然を自然としてあるがままに見て、そこに息づく人間の暮らしや風土のありさまを控えめながら肯定的に描こうとしている。また、南城の時代は飢饉が多発して社会不安が強かったときであるが、政治批判の詩を南城は作っていない。

収録刊行物

  • 大東文化大學中國學論集

    大東文化大學中國學論集 34 35-57, 2016-12-31

    東京 : 大東文化大學大學院文學研究科中國學専攻院生研究會

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