絵本<11ぴきのねこ>シリーズの受容-児童劇の脚本を中心に-

書誌事項

タイトル別名
  • On the Acceptance of Picture Book "Eleven Hungry Cats" Series ―With a Focus on Scripts for Children―
  • エホン 〈 11ピキ ノ ネコ 〉 シリーズ ノ ジュヨウ : ジドウゲキ ノ キャクホン オ チュウシン ニ

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抄録

漫画家馬場のぼるの代表作『11 ぴきのねこ』は, 2017 年で誕生50 周年を迎える大人気ロングセラー絵本である. この人気を背景に, 絵本は脚色され, 幼稚園・保育園, 小学校の生活発表会の演目の一つになっている. そこで本稿では, 子どもが演じる脚本を中心に,〈11 ぴきのねこ〉シリーズの受容の一端を明示することにした. まず, 受容状況を概観し,〈11 ぴきのねこ〉が幅広い年齢層に支持され, 以前にもまして子どもにとって身近な存在になっていることを示した. 次に原作絵本『11 ぴきのねこ』を分析し, この絵本にはもともと劇化しやすい要素がいくつも含まれていることを明らかにした. さらに, 児童劇の2 つ脚本, 井上ひさし作・青島広志曲「青島広志のショート・ショートミュージカル11 ぴきのネコ」と,田中喬子脚色&作詞・井戸和秀作曲「11 ぴきのねこ」を分析し, 音楽的な要素を重視している点, 原作に漂うユーモアが軽減された点など, 両作には共通点が多く見られるが, 結末における脚色については, 大きな違いがあることを指摘した. 実際に上演する際には, まず原作の読みを深めることが重要だが, これらの脚本を参考にする場合には, 原作との相違を考慮したうえで劇作りをすることが望まれる.

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