地域振興におけるキャラクター運用に関する一考察 : 鳥取県米子市・境港市におけるキャラクターの活用

書誌事項

タイトル別名
  • チイキ シンコウ ニ オケル キャラクター ウンヨウ ニ カンスル イチ コウサツ : トットリケン ヨナゴシ ・ サカイミナトシ ニ オケル キャラクター ノ カツヨウ
  • Use of Characters in Regional Development : The Cases of Yonago and Sakaiminato in Tottori Prefecture

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説明

近年地方自治体は過疎化や高齢化を受け, 地域振興の方法を求めている。その中でもアニメや漫画・オリジナルキャラクターなどを活用した地域振興致策は多くの自治体が興味を持ち, キャラクターを創った, キャラクター活用を発表したというニュースは多く聞くようになってきている。しかしながら実状としてはただキャラクターを発表するだけで立ち消える事例が見られる他, 今後運用方法を誤る事例が出現する可能性は高い。そこで本研究では水木しげる関連作品のキャラクターを用いた地域振興を行なっている鳥取県境港市と地域オリジナルキャラクターヨネギーズを用いた地域振興を行なっている鳥取県米子市の2つの地域におけるキャラクターの性質とその運用の状況を調査・比較し, キャラクターの性質にあった地域振興におけるキャラクターの運用方法を考察した。調査の結果,境港市の活用する水木しげる関連作品のキャラクターは社会的認知状況が高く, 背景となる作品の物語量が多いため, 背景となる作品の魅力をそのまま活用するようにキャラクターをそのまま銅像や博物館と言った形で配置し, 訪れるファンもキャラクターの背景となる作品の物語そのままを体験しに訪れていると考えられることがわかった。その一方で米子市のヨネギーズは社会的認知状況が低く, 背景となる作品の物語が殆ど存在しないため, 背景となる作品の物語をソーシャルメディアなどインタラクティブなツールを使うことでリアルタイムにファンと共に共創しており, そのような運用によって柔軟に他のキャラクターとのコラボレーションなどを行なっており, ファンもヨネギーズとまるで本当にキャラクターが生きているかのように会話をして背景となる作品の物語の共創に参加していると考えられる事がわかった。この比較から, キャラクターの認知状況と背景の作品が持つ物語量に即した、地域振興の際におけるキャラクター運営の必要性が示唆された。

収録刊行物

  • 観光科学研究

    観光科学研究 (5), 127-135, 2012-03-30

    首都大学東京 大学院都市環境科学研究科 観光科学域

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