国際的な政策協調を巡る問題とIMFの役割

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  • International policy coordination and the roles of the IMF
  • コクサイテキ ナ セイサク キョウチョウ オ メグル モンダイ ト IMF ノ ヤクワリ

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抄録

米国の住宅バブル崩壊と同時に世界に急速に伝播した金融経済危機の中で、国際政策協調の必要性に関する議論が内外関係者の間で高まってきた。国際協調の考え方は戦前にまで遡ることができるが、最近までのその取り上げられ方は散発的である。とくに1980年代央前後に議論が活発化し、その後は下火となっていた。そしてマクロ経済政策協調の必要性と効果について、最終結論は出ておらず、学界中心に効果は限定的という見方が支配的な模様である。ただ、とくに資本取引面での国際的相互依存関係が極度に高くなっている現状では、今回の世界金融経済危機の悪影響は、その規模・緊急性において、70年余以前の大恐慌以来、類を見ない深刻なものである。こうした状況の中では、先進主要国やIMFは協調して国際的な流動性不足に迅速に対応せざるをえなかった。さらに、今後の危機に備えるため、グローバルなマクロプルーデンスの観点からの協調も必要性が高まっている。危機対応のための機能(緊急な流動性供給、金融規制・監督等)を有する国際機関はいくつかあるが、中でも全世界の金融経済を監視する立場のIMFは有力な適格機関とみられ、今後、G-7、G-20、国際決済銀行(BIS)、金融安定理事会(FSB)等との協議を重ね、また組織改革をさらに進めながら、関係国や他の国際機関を協調面で主導する機能を果たしていくことが望まれる。

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