ジョヴァンニ・デル・ビオンドの≪玉座の聖ゼノビウス≫をめぐる一考察 : 共和制フィレンツェの守護者としての聖人像

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タイトル別名
  • Giovanni del Biondo's St. Zenobius Enthroned : The image of the Saint as a defender of the Republic of Florence
  • ジョヴァンニ ・ デル ・ ビオンド ノ ≪ ギョクザ ノ セイゼノビウス ≫ オ メグル イチ コウサツ : キョウワセイ フィレンツェ ノ シュゴシャ ト シテ ノ ショウニンゾウ

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抄録

初期キリスト教時代のフィレンツェ司教だった聖ゼノビウスは、同都市の大聖堂で11世紀から篤く信仰され、13 世紀半ばから16 世紀初頭に繰り返し造形化された。1330 年代以降には、聖ゼノビウス像をフィレンツェのシンボルであるユリやライオン(マルゾッコ)と共に表わすことで都市との結びつきが強調されたが、1380 年頃にジョヴァンニ・デル・ビオンドが制作した板絵≪玉座の聖ゼノビウス≫には、聖人とユリの紋章に加えて8 人の美徳の擬人像と3 人の悪徳の擬人像が描き込まれている。聖人像と美徳と悪徳との組み合わせが稀有であることから、本論では、シエナ政庁に1338 ~ 39 年にアンブロージョ・ロレンツェッティが制作した≪善政の寓意≫および≪悪政の寓意≫の図像と比較することにより、本作品が理想的な司教像と共和制都市国家フィレンツェの守護者のイメージを重ね合わせていることを指摘し、その時代背景について考察した。

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