当院での川崎病治療における大量ガンマグロブリン療法の 投与速度に関する検討

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タイトル別名
  • ANALYSIS OF THE RATE OF INTRAVENOUS IMMUNE GLOBULIN ADMINISTRATION FOR KAWASAKI DISEASE

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現在,川崎病の標準治療は大量ガンマグロブリン静注(IVIG; intravenous immune globulin) 療法とされている.2018年2月にポリエチレングリコール処理人免疫グロブリンの添付文書が改訂さ れ,最大投与速度が0.03 ml/kg/minから0.06 ml/kg/minに変更された.当院においても2018年4月か ら最大投与速度をこれまでの0.03ml/kg/min から0.06ml/kg/minへ変更した.投与速度上昇に伴い1 回あたりのIVIG投与時間が短縮れ,解熱までの病日が短縮されることやIVIG不応例に対しより早い追加治療ができる可能性が考えられた.今回,診療録をもとに最大投与速度0.03ml/kg/min群(A群)43例と0.06ml/kg/min群(B群)17例について後方視的に比較検討した.両群間で性別,月齢,重症度に差はなかった.1回のIVIG療法で解熱が得られたのは,A群28例,B群15例,2回のIVIG療法 を要したのはA群7例,B群2例であった.IVIG療法のみでは解熱せず追加治療のため高次医療機関 に転院となった例はA群では8例あったものの,B群では1例も認めなかった.いずれの項目も統計学上の有意差はなかった.今回の検討では,症例数が少ないため有意差が得られなかった可能性があり,今後症例数を重ねて再検討する余地があると考えられた.

収録刊行物

  • 横浜医学

    横浜医学 70 (2), 95-99, 2019-05-30

    横浜市立大学医学会

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