「満洲国」の川端康成

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タイトル別名
  • KAWABATA Yasunari in “Manchuria”

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抄録

川端康成は、昭和一六(一九四一)年に二度、旧「満洲国」を旅している。そのときに見聞したことが、川端の意識に影響を与え、戦中の川端の小説の題材にもなっている。満洲滞在中の書簡や、帰国後の満洲に関する川端の言説には、満洲の厳しい風土の中で暮らす日本人への共感や、「深く埋れるやうな堅忍」で満洲のために働く日本人の姿から窺える「日本の美しさ」に対する感動が記されている。それは後に、「大東亜の理想」を実現すべき「満洲国の文学」の称揚へと続いていく。本稿では、川端の満洲に関する記述を辿りながら、当時の川端の意識を探り、そこから川端と戦争の関わりについて、ひとつの側面から考察したものである。

収録刊行物

  • 日本語日本文学

    日本語日本文学 (29), 1-18, 2019-03-18

    創価大学日本語日本文学会

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