帯緑色籾歩合による水稲の刈取適期の判定(1) : 刈取適期判定の指標としての帯緑色籾歩合の適合性

抄録

刈取適期判定の指標として,主として帯緑色籾歩合の適合性を,早期栽培のハヤヒカリ,初星,コシヒカリ,普通期栽培のコチヒビキについて検討した。結果は以下のとおりであった。1. 早期栽培のハヤヒカリ,初星,コシヒカリの刈取適期判定の指標として,出穂後日数,出穂後積算気温は品種や年次による変動が大であった。しかし,帯緑色籾歩合は品種や年次による変動が小さく,刈取適期判定の指標となると判断された。刈取適期における帯緑色籾歩合は,ハヤヒカリ,コシヒカリでは約10~15%,初星では約15%であった。2. 普通期栽培のコチヒビキでは,刈取適期判定の指標としては,帯緑色籾歩合より出穂後日数や積算気温の方が適合性が高かった。しかし,現場でこれらの指標を用いるには難点が多いので,出穂後日数で38~42日をめやすとし,帯緑色籾歩合で25%前後を指標として刈取適期を判定するほうが実際的である。3. 登熟期間中が天候不順の年次には,早期栽培でも普通期栽培でも帯緑色籾歩合の減少は遅かった。そのとき,早期裁培では登熟期間が長くなり,刈取適期の帯緑色籾歩合は平年と変わらなかったが,普通期栽培では登熟日数は変わらず,刈取適期の帯緑色籾歩合は他の年次に比べ高くなった。4. 帯緑色籾歩合の減少速度は,普通期栽培に比べ早期栽培で大であった。5. 追肥時期を変えても刈取適期の帯緑色籾歩合はほとんど変わらなかった。

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