モミ・ツガ天然林におけるモミ当年生実生の消長過程と死亡要因

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タイトル別名
  • Emergence-disappearance processes and mortality factors of current-year seedlings of Abies firma in a natural Abies-Tsuga forest, Wakayama

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抄録

和歌山演習林のモミ・ツガ天然林において、モミ当年生実生のデモグラフィーを明らかにすることを目的に、0.96ha(80×120m)のプロット内に213個の実生枠(1m[2])を設け実生の消長過程とその死亡要因を調べた。実生の発生は4月中旬から始まり、4月下旬にピークを迎えた後、急激に低下し、6月はじめには停止した。発生した実生は経時的に減少する傾向を示し、成長終了期の12月には死亡率は60%にも達した。死亡をもたらす原因は、動物による被食、菌類などの感染による立ち枯れ、乾燥などであったが、季節的にその度合いは異なっていた。斜面傾斜角度、相対光量子束密度、リター層の厚さ、繁殖成木からの距離、林床植物の被度といった要因を取り上げ、実生の発生と生残率について重回帰分析をおこなった。実生の発生にはリター層の厚さが正に、逆に繁殖成木からの距離が負にそれぞれ有意な影響を及ぼしていることが明らかとなった。生残率にはリター層の厚さと林床層植物の被度がそれぞれ正に有意な影響を、また有意ではなかったものの有意判定基準付近にあった斜面の傾斜角度はわずかに負の影響を及ぼしていることが明らかとなった。

収録刊行物

  • 森林研究

    森林研究 (71), 27-33, 1999-12

    京都大学大学院農学研究科附属演習林

被引用文献 (2)*注記

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