水稲の乾田直播栽培における入水時の水管理法

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  • スイトウ ノ カンデン ジカマキ サイバイ ニ オケル ジュスイジ ノ ミズ カンリホウ

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水稲の乾田直播栽培における生育の制御法の一つとして,入水時の水管理法について,とくに入水時期,入水時の水深が水稲の初期生育に及ぼす影響をポット試験,枠圃場試験及び圃場試験により明らかにした。1. 水深が適当で出芽揃い期以降であれば,入水時期は早いほうが葉数の増加が早く総出葉数が少なくなり,出穂期,成熟期が早くなった。出芽揃い期から4葉抽出期の範囲では,入水後の水深が適当であれば,入水が早いほど分げつの発生が多く,茎葉及び根の乾物生産が優れ,茎数を多く確保できた。2. 2葉が抽出する時期の入水では4葉抽出期の入水に比べ生育に及ぼす水位の影響がとくに大きく,水深が深いほど分げつの発生は抑制された。とくに10cm以上の水深ではほとんど分げつは発生しなかった。しかし,10cm以上の深水でも2~5日毎に4cm程度まで水深を下げれば生育の抑制程度を小さくすることが出来た。4葉抽出期の充分生育が進んだ水稲の場合には,水深12cmまでの範囲では,水深が水稲の茎数,乾物重に及ぼす影響は2葉抽出期の場合より小さかった。冠水した場合には,出芽揃い期や2葉期には葉身が早く水面から出れば枯死する株がなかったが,分げつの発生や乾物生産が抑制された。また,4葉抽出期頃の遅い入水時期でも,完全に冠水する期間が長期に及ぶと枯死株が非常に多くなった。3. 入水後の水深が分げつの発生に及ぼす影響は圃場条件でも認められ,水深が深いほど分げつ数は少なくなり,ポット試験及びコンクリート枠圃場試験と同様であった。とくに水深6cm以上では分げつの発生が著しく抑制された。4. 以上の結果から,温暖地の早期栽培における乾田直播栽培では,入水時期は出芽が揃えば早いほうが茎数の確保に有利であり,入水後の水深は2~4cmが適当であるが,稲体が完全に水没しても葉身が水面から早く出れば株全体が枯死することはないなど入水後の水管理法が明らかになった。

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