明治・大正期における地域共同体(コモンズ)の森林保全 : 滋賀県甲賀郡甲賀町大原地区共有山を事例にして

書誌事項

タイトル別名
  • Conservation of "common" forests in the Meiji and Taisho eras : A case study of common forest in the Ohara region, Koka county, Shiga prefecture
  • メイジ タイショウキ ニ オケル チイキ キョウドウタイ コモンズ ノ シンリン ホゼン シガケン コウカグン コウカチョウ オオハラ チク キョウユウサン オ ジレイ ニ シテ

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抄録

地域住民による相互規制によって地域資源を保全してきた日本の入会制度が,近年,環境問題の議論の場で,盛んに脚光を浴び始めている.事実,日本の共有山や財産区をめぐる先行研究は数多い.しかし,それら(少なくとも,入会林野の近代化が進められた戦後において)は概して,日本の社会制度の歴史一般における一つの特殊な制度の記述としての狭く,また後ろ向きの位置づけにおいてであり、より広く、また意義の深い環境保全の視点や海外におけるコモンズ研究との接点を持つものではなかった.本稿は,明治初期の森林荒廃を見事に脱し,今や檜の美林を形成するに至った明治・大正期の滋賀県甲賀郡甲賀町大原地区の共有山利用を事例とし,旧大原村の地域共同体が果たした森林保全をコモンズ論的な視点から考察する.また,コモンズという言葉だけが先行して,環境保全のためのコモンズの内法(約束事ないしはルール)についての学問的検討があまり進んでいない現状において,本稿では,旧大原村民が締結し,堅く遵守した共有山盟約とその変遷を詳細に分析し,さらには海外研究との比較分析を試みた。その結果,資源管理主体として存立するコモンズには,洋の東西を問わず,共通した用件が確認された.

収録刊行物

  • 森林研究

    森林研究 (72), 35-44, 2000-12

    京都大学大学院農学研究科附属演習林

被引用文献 (1)*注記

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