紫黒米粳品種「おくのむらさき」の育成

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タイトル別名
  • ムラサキ クロゴメ コウヒンシュ オクノムラサキ ノ イクセイ

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説明

「おくのむらさき」は,紫黒米の「東北糯149号」と「奥羽331号」(後の「ふくひびき」)の組合せから育成された水稲の紫黒米粳品種である。同じ紫黒米の「朝紫」と比較し,出穂期は同程度,成熟期は4日程度遅く,育成地では早生の晩の熟期で,稈長は短く,穂長は長く,穂数は少なく,耐倒伏性は強い。いもち病の真性抵抗性遺伝子型はPi-bを持つと推定され,葉いもちと穂いもちの圃場抵抗性は不明である。白葉枯病抵抗性はやや弱である。また耐冷性は弱,穂発芽性はやや難である。玄米収量は「朝紫」より11%多く,紫黒米の品種としては多収性である。玄米千粒重は24.3gで「朝紫」より4g程度重く,やや大粒である。玄米品質は表面に紫黒米特有の紫色果皮があり,果皮の色は「朝紫」より薄い。色素を落としたときの精米歩合は84%で「朝紫」より高い。また精米後の胚芽残存は少ない。色素を落としたときの食味は,「ひとめぼれ」より劣り「キヨニシキ」並である。大粒型の粳特性を活かした着色酒及び着色米飯のための素材等の利用が予定されている。

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