オンシツコナジラミ雌成虫の卵巣発育と飛翔分散について
書誌事項
- タイトル別名
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- オンシツコナジラミ メス セイチュウ ノ ランソウ ハツイク ト ヒショウブンサン ニ ツイテ
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説明
1.オンシツコナジラミ雌成虫の卵巣発育程度を、羽化直後で卵巣および卵巣小管内の卵細胞の肥大が見られない段階(-)、卵巣小管内の卵細胞の肥大が見られるが成熟卵は保有していない段階(+)および卵巣小管内あるいは愉卵管内に成熟卵を保有している段かい(++)の3段階に分級した。2.卵巣小管数の出現頻度は、卵巣が未成熟な個体では22本、卵巣小管に成熟卵を保有する個体では30本が最も高かった。また、卵巣小管数が増加するにつれて、卵巣内の成熟卵粒数は増加する傾向を示した。3.20℃・無給餌条件でのオンシツコナジラミ雌成虫の卵巣発育は、羽化後6時間ではほとんど肥大が見られず、羽化後24時間経過しても成熟卵は保有しなかった。4.給餌条件でのオンシツコナジラミ雌成虫の卵巣発育は、成熟卵・半成熟卵の保有数が25℃において最も多く、発育適温は25℃と考えられた。給餌・30℃の温度条件で羽化後24時間経過した場合には、輸卵管内に成熟卵を保有する個体がみられ、産卵可能な状態であった。5.7月中旬におけるオンシツコナジラミ成虫の羽化は、午前6時から8時までに全体の80%以上が完了し、当日羽化可能な個体の全ては、午前11時までに羽化を終了した。6.羽化直後のオンシツコナジラミ成虫は、7月中旬においては、少なくとも24時間は羽化場所あるいはその近傍にとどまり、その後徐々に上位葉へ移動した。半数の個体が上位葉へ移動するのに5日間を費やした。上位葉への移動は一日中観察され、午後にピークとなった。7.10月上旬の温室内における黄色水盤トラップへのオンシツコナジラミ成虫の誘殺は、午前8時から10時にピークをもつ単峰型を示し、約80%の個体は午前中に飛翔行動を終了した。雌雄成虫間における飛翔時刻の違いは認められなかった。気温が高い日に飛翔数が増大した。8.5月~7月の野外の黄色水盤トラップで調査したオンシツコナジラミ成虫の飛翔は、発生源から離れるにしたがって、雌率および成熟卵保有雌の割合が高い傾向であった。しかし、9月~10月においては一定の傾向はみられなかった。オンシツコナジラミ雌成虫は、成熟卵保有個体においても、9m程度の高さを飛翔することが可能であった。 以上のことから、オンシツコナジラミの羽化は午前中の明期間に起こり、羽化後少なくとも24時間は羽化した葉裏あるいはその近傍にとどまることが判明した。株内での上位葉への移動は1日の明期間内に徐々に起こり、温度が高い午後に多く、半数の個体が上位葉へ移動するのに5日間を費やした。温室内における株外への飛翔分散は、1日の明期間のすべての時間帯に雌雄の別なく生じ、とくに午前中に全体の約80%が飛翔した。また、野外での飛翔分散は1日の明期間のすべての時間帯に雌雄の別なく生じ、雌成虫の卵巣は飛翔移動期においても徐々に発育し、成熟卵を保有する個体でも飛翔分散が可能であった。
収録刊行物
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- 広島県立農業技術センター研究報告 = Bulletin of the Hiroshima Prefectural Agriculture Research Center
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広島県立農業技術センター研究報告 = Bulletin of the Hiroshima Prefectural Agriculture Research Center (69), 1-14, 2001-10
東広島 : 広島県立農業技術センター
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050001338665673216
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- NII論文ID
- 40005021364
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- NII書誌ID
- AN10419973
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- ISSN
- 09184848
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- NDL書誌ID
- 5970592
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- journal article
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- データソース種別
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