海洋深層水を利用したヒラメ稚魚の耳石バーコード標識について

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  • カイヨウ シンソウスイ オ リヨウ シタ ヒラメ チギョ ノ ジセキ バーコード ヒョウシキ ニ ツイテ

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1997~2000年に、富山湾から取水している低温の海洋深層水(2~3℃)を活用してヒラメ稚魚(平均体長(TL)2.5~90mm)の飼育水温を5℃または10℃昇降温させ、耳石(扁平石)にバーコード標識(日周輪の中に複数の障害輪をパターン化して挿入したもの)を形成することが可能かどうか検討した。バーコード標識は、10℃昇降温させた場合にのみ形成され、TL90mm(低温期間・常温期間・低温期間=6日・3日・6日)では100%、50~70mm (同じく2日・2日・2日または4日・4日・4日)では40~80%の飼育魚で認めることができたが、5℃昇降温の場合にはどの体長の魚にも形成されなかった。TL90mmの稚魚に形成したバーコード標識は、1年経過後でも確認でき、個体によっては耳石表面を研磨しなくても標識の有無が認められた。ヒラメでは、稚魚期の低温暴露が性比の変化(雌の減少)を引き起こすことが知られているが、本実験ではTL50~90mmについて調べた結果、低温暴露の反復による標識付けの1年後も顕著な傾向は認められなかった。この標識方法は、魚体に損傷を与えることなく、温度パターンを変えることにより複数の標識をつくることができるため、多量の稚魚に処理を施すことが可能である。今後、ヒラメの流通過程において耳石(またはこれを含む頭部)を入手することができれば、放流魚の識別や移動を明らかにするうえで有用な手段となりうる。

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