道東および常磐沿岸域におけるツノナシオキアミEuphausia pacificaの胃内容物の特徴

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  • ドウトウ オヨビ ジョウバン エンガンイキ ニ オケル ツノナシオキアミ Euphausia pacifica ノ イ ナイヨウブツ ノ トクチョウ

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ツノナシオキアミは、北太平洋の亜寒帯~遷移帯域に広く分布し、北西部北太平洋では現存量において動物プランクトン群集の主要な構成種となっている。また、本種は、顕著な日周鉛直移動を行うとともに、濃密群を形成することが知られている。このような生態的特性により、北西部北太平洋では回遊性魚類、底魚類、海鳥類、鯨類等の主要な餌生物となっており、海洋生態系内の物質循環に重要な役割を果たす鍵種と考えられている。しかし、本種を介した低次生産者と高次生産者を結ぶエネルギーの流れはほとんど明らかにされておらず、北西部北太平洋域における海洋生態系の構造を解明するためには本種の摂食生態を把握することが重要である。これまでツノナシオキアミの摂食生態については、摂食器官に関する研究、摂食実験及び消化管内容物の解析が行われてきた。オキアミ類の摂食方法は、植物プランクトン等小型で遊泳性のない餌を対象にする濾過摂食とカイアシ類等大型で遊泳力のある餌を対象にする捕食の主に2通りに分けられる。濾過摂食するときには、胸脚によってfeeding basketを形成しfeeding basket内の海水を胸脚内肢の濾過刺毛によって濾し取り餌を口へと運ぶ。Nemoto(1967)は、濾過摂食に適した種類は濾過刺毛の間隔が狭いことを明らかにし、Euphausia属ではツノナシオキアミ、植物プランクトンの豊富な海域の表層種がこれに該当すると報告している。

Journal

  • 水産海洋研究

    水産海洋研究 66 (3), 155-163, 2002-08

    東京 : 水産海洋学会

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