有機リン系農薬の水-底質系での比較代謝

この論文をさがす

抄録

水-底質系における農薬の挙動の解明を目的として3種類の有機リン系農薬を用いてフランスの湖水-底質系での好気的な代謝試験を行った。トルクロホスメチルおよびブタミホスでは水層から底質層への速やかな移行が起こり、一方シアノホスの分配はより緩やかであった。これらの化合物は半減期8.8~24.5日で系内から消失しトルクロホスメチルおよびシアノホスは主にP-O-アリール結合およびP-O-メチル結合の開裂、シアノ基の加水分解により分解された。一方ブタミホスでは主要な分解物は検出されず多数の分解物が生成した。トルクロホスメチルおよびブタミホスでは水との共沸によると考えられる揮散が認められた。水-底質系からの農薬の消失はその化学構造や物理化学的性質に影響される分配、代謝分解と揮散により支配されるものと考えられる。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ