TAC運用下での中型まき網漁業の経営実態と漁獲管理

この論文をさがす

抄録

1)筑前海におけるマアジ漁獲量は'87~'00年では、1090~8153tでその6~9割をまき網漁業で漁獲している。2)TAC制度施行以降、'98年を除きマアジの漁獲実績は低レベルで推移している。マアジの漁獲量は、割当量の18~82%に留まっている。3)漁獲物の魚種組成は9割程度を浮魚が占め、アジ・サバ類の漁獲割合は5~8割程度であった。4)鐘崎漁協所属の経営体は、大島漁協及び小呂島支所に比べ漁業収入で2.5倍、漁業支出で3.0倍の規模であった。5)経費別割合では、人件費の割合が最も高いのは小呂島支所、操業経費では大島漁協、流通経費では鐘崎漁協であった。船舶経費は魚探船を所有していない小呂島支所が最も低かった。6)本県のまき網漁業の経営は、鐘崎漁協所属の経営体は企業タイプ、大島漁協は共同経営タイプ及び小呂島支所は組合運営タイプに分類される。7)経営面では鐘崎漁協は過大な設備投資、大島漁協は設備投資への財源確保、小呂島支所は操業の効率化などが課題である。8)本県における中型まき網の採算ラインから漁獲可能量を算出すると、漁獲割当量が3000tを下回ると経営的に厳しい状況にあると推察された。9)漁獲規制には自主規制段階を経て、過去の漁獲実績に基づき組合毎に漁獲可能量を再配分して、規制する方策が考えられる。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ