銘柄豚「讃岐黒豚」の作出に関する試験(7) : 品種による肉質の比較

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品種の特性を究明するため、同一条件で肥育し、肉質を検討した。バークシャー種(B)、デュロック種(D)、ハンプシャー種(H)、ランドレース種(L)、大ヨークシャー種(W)および交雑種(LWD、BDB、LWB)の8品種を用い、群飼で検定用飼料を不断給与とした。結果、と体調査では、と殺日齢はHが有意に長くなったが、他は差がなかった。FC、1日当たり飼料摂取量およびTDN摂取量は、群飼であるため推定値であるが、Bが他品種より有意に高く、背脂肪および脂肪平均が厚く格付も悪かった。理化学的検査では、肉色はPCSからLとHが濃い結果であった。L値・a値・b値からみた場合もLとHが濃い結果であった。しかしBDBも赤みが濃かったがL値が高いため、総合的にはPCSは低かった。保水性、伸展率はBが低い傾向であった。脂肪融点はHが低かった。加熱損失はD・H・L・DBD>W・B>LWB・LWDであり、圧搾肉汁率はWが低かった。脂肪水分はH>D・L>B・W・LWD・DBD・LWBであった。筋繊維面積はD・L・LWD>B・H・BDBであったが有意な差はなかった。破断応力はW>H・LWB>L・BDB・LWD>B・D、テクスチャーのかたさ応力はBDB・W・H>B>D・L・LWD・LWB、ガム性応力はH・BDB・W>B>D・L・LWD・LWBであった。成分分析では、粗脂肪含量はHが低く2.8%、Bが高く4.4%であった。ビタミンB1はBDB・LWD>L・B>H・Dであった。背内層脂肪の脂肪酸組成は、リノール酸、リノレイン酸の比率がHで有意に高かった。U/SはH、D、Lが高く、LWD、B、BDBが低かった。16種の遊離アミノ酸の総量はBDBが少なかったが、その他の品種間では差がなかった。「AMAMI」はD・H・L・LWD>B・BDB、「UMAMI」はL・D・BDB・H・B>LWDであった。ヒドロキシプロリン量およびコラーゲン量はBが有意に多く、その比率である加熱溶解性も有意に高かったことからやわらかいことが判明した。これらのことから、品種の肉質の特性を示す項目はいくつか考えられるが、今後これらのデータを個々に検討するのでなく、官能検査を含め総合的に肉質を評価する方法についてさらに検討する必要がある。

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