在来木本植物を利用する切取りのり面の緑化

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  • ザイライ モクホン ショクブツ オ リヨウ スル キリトリノリ メン ノ リョクカ

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抄録

道路の改修工事や各種の開発工事に伴って造成されるのり面を対象に、周辺の在来木本植物で早期に緑化を図りながら、スムーズに植生遷移を進行させるための各種の基礎調査および実験を行った。今回、国道の拡幅によって造成された切り取りのり面の法枠内にアラカシ(Quercus gluca Thunb.) 、ヤマハゼ(Rhus sylvestris Sieb. et Zucc.)、フサザクラ(Euptelea olyandra Sieb. et Zucc.)などの木本植物の種子を基盤材と共に吹き付けた。その結果、施工後7年間では、全体的にフサザクラ、ウバメガシ(Quercus phillyraeoides A. Gray)、アラカシ、ヤマハゼおよびイタチハギ(Amerpha fruticosa Linn.)の伸長成長が目立った。特に先駆植物であるフサザクラの伸長成長が著しかった。同種間や異種間の一部では、伸長成長に反比例する形で成立本数の減少が確認された。基盤材の流出はまったく認められず、表面浸食は防止されていた。草本種のススキ(Miscanthus sinensis Aderss.)は、m2当たり50本程度の導入であれば、導入しない場合と大量に導入した場合に比べ、木本植物の成長を促進させる効果が認められた。これらのことから、基盤剤の侵食防止効果の認められる期間内に、導入した木本植物の成長促進をはかれば、早期に樹林化を達成することは可能であると考えられた。

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