スモモ異常葉(ヤナギ葉)の発生原因の究明と対策

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説明

「ヤナギ葉」は山梨県下のスモモ産地の主に‘大石早生季’に1975年頃から発生がみられる症状である。樹形を乱し安定果樹栽培を行う上での大きな障害となっている。このため、本症状の発生原因を究明し、対策方法を検討した。1)「ヤナギ葉」の障害樹は、全体あるいは一部の新梢の伸長の抑制、葉の黄白色化を伴い、ヤナギの葉の様に細長く小型化していた。2)現地調査より、障害樹の土壌は健全樹の土壌に比べ、pH(H2O)、交換性Ca含量、塩基飽和度が高く葉中Zn含量は低下した。土壌pH(H2O)6.0以上、葉中Zn含量23mgkg-1以下で障害が発生した。3)現地障害園において萌芽前の3月上旬に休眠枝へ硫酸亜鉛六水和物の0.5%溶液あるいは1.0%溶液を散布したところ、ともに十分な障害軽減効果を示した。一方、4月下旬から1週間おきに合計3回、0.5%溶液を葉面散布しても障害の軽減はわずかな程度にとどまった。4)以上より「ヤナギ葉」は高pH土壌を原因とするZn欠乏の症状であり、0.5%硫酸亜鉛溶液を萌芽前の休眠枝へ散布することで発生を回避できた。

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