長野県北部のブナ林とカラマツ林における繁殖期の鳥類群集の比較

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  • ナガノケン ホクブ ノ ブナリン ト カラマツリン ニ オケル ハンショクキ ノ チョウルイ グンシュウ ノ ヒカク

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抄録

1997年5月から7月にかけての繁殖期に,長野県下高井郡木島平村カヤの平地区(35°50'N,138°30'E)のブナ原生林(5.7ha,以下,原生林という)とカラマツ人工林(7.7ha,以下,人工林)で鳥類群集を調査した.原生林と人工林でそれぞれ21種と22種の鳥類を記録した.二つの林の群集の類似度は0.86であった.群集の多様度(H')は人工林よりも原生林で高かった.どちらの林でもヒガラParus aterの個体数が最も多かった.原生林では,ヒガラのほかにも樹洞営巣性鳥類(シジュウカラ P. major,ニュウナイスズメ Passer rutilans,キビタキ Ficedula narcissina,ゴジュウカラ Sitta europaea)が個体数の上位を占めた.一方,人工林では,ヒガラと開けた生息環境を好むニュウナイスズメ,ビンズイ Anthus hodgsoniやアオジ Emberiza spodocephalaの個体数が多かった.密生したササ藪を好むクロジ E. variabilisの生息密度は原生林が人工林の3倍に達した.おそらく,二つの林の鳥類群集の違いは植生構造の違いや樹洞の多さの違いによるものと思われた.

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