温暖地水稲早期栽培地帯における紙マルチ移植栽培が雑草防除及び生育・収量に及ぼす影響

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  • オンダンチ スイトウ ソウキ サイバイ チタイ ニ オケル カミ マルチ イショク サイバイ ガ ザッソウ ボウジョ オヨビ セイイク シュウリョウ ニ オヨボス エイキョウ

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抄録

温暖地早期栽培という特徴ある栽培条件及び雑草発生状況下で、紙マルチ移植栽培法の適用性を検討し、以下の点を明らかにした。1.紙マルチ移植栽培では、移植後60日の一年生雑草の発生量を除草剤処理並みに抑えることができた。しかし、多年生雑草に対しては紙マルチの種類により防除効果は異なり、黒色紙マルチを使用するとほぼ慣行の除草剤処理並みの防除効果が得られた。2.紙マルチは移植後45~50日で崩壊・消失した。発生期間の長い多年生雑草は紙マルチ消失後にも発生してくるため、防除効果の高い黒色紙マルチを使用しても残草が見られた。紙マルチ移植栽培に、収穫後のロータリ耕やグリホサートアンモニウム塩処理による秋期防除を組合せることにより雑草防除効果が高まり、一年生雑草ばかりでなく多年生雑草を含めて、除草剤を使用せずにほぼ完全に雑草防除を行うことが可能であった。3.紙マルチ移植栽培における生育初期の茎数は、活着の遅れにより抑制されたが、黒色紙マルチを使用すると、慣行栽培の無マルチ区と比べて最高地温が1~4℃高くなるため、茎数の抑制はほぼ回避された。白色紙マルチの使用で、初期の茎数が抑えられた場合でも、最高分げつ期以降は生育が回復し、慣行並みかそれ以上の収量が得られた。4.地表下3cmの最高地温は、黒色紙マルチでは慣行の無マルチより高くなった。地温の日変化は日照時間と関係し、日照時間の多い日は日較差が大きくなり、日中の地温は黒色紙マルチの使用では慣行と比べて高くなり、白色紙マルチの使用では慣行並みであった。5.紙マルチ移植栽培の生産費は、慣行栽培と比べて玄米60kg当たり約6,600円高くなるため、生産現場への技術導入に当たっては、無農薬無化学肥料栽培米とする等付加価値をつけ、高価格で販売することが必要である。

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