畑地における土壌環境,有機物施用の有無が脱窒に及ぼす影響

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  • ハタチ ニ オケル ドジョウ カンキョウ ユウキブツセヨウ ノ ウム ガ ダッチツ ニ オヨボス エイキョウ

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抄録

畑地への窒素負荷を低減するには,施肥窒素の収支の把握が重要である.一方,窒素収支において脱窒による窒素の消失量は土壌環境によって大きく異なる.そこで,畑地での脱窒量推定に資するために,土壌の種類,水分,かさ密度の違い,有機物添加の有無およびそれら要因の複合的な作用が土壌の脱窒速度に及ぼす影響を室内モデル試験によって検討した.その結果,脱窒速度と土壌の気相率の間に相関が認められ,脱窒速度は以下のように表すことができた.脱窒速度=exp(K1×気相率+K2+K3),K1,K2は土壌の種類によって,K3は施用する有機物の種類によって決まる定数.脱窒速度をほ場条件下で実測した結果,化学肥料と乾燥豚ぷんを併用した栽培(併用栽培)の脱窒速度は化学肥料単独栽培に比べ高く,しかも,10~20cm,20~30cm層位において0~10cm層位を上回る時期がみられた.このため,有機物施用によって環境への窒素負荷が低減される可能性が示唆された.一方,得られた予測式を検証するため,計算値とほ場条件下での実測値を比較した結果,その値は併用栽培下において著しく異なり,予測精度向上のためには,土壌および施用有機物の種類に加え,土壌中の易分解性有機物量および脱窒酵素活性も考慮することが必要と考えた.

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