植物を利用した農業集落排水の水質浄化法

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  • ショクブツ オ リヨウ シタ ノウギョウ シュウラク ハイスイ ノ スイシツ ジョウカホウ

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抄録

1999年から2003年の5年間、農業集落排水高度処理施設からの処理水の各植物を利用した水質浄化実証試験を行った。1)ろ材として用いた火山礫は、径2-15mmの雲仙普賢岳からの噴出物で、りん酸吸収係数が低く、吸水性もほとんどない。ゼオライトは、火山性の鉱物で入手が容易であり、径は3-5mm、塩基の吸着保持力が大きい。2)ろ材を用いないで栽培したシュロガヤツリは、施設外に持ち出せる窒素、りんの量が最も高く、維持管理も比較的容易であり、年間の生育期間も長いことから最も適した植物と推察される。3)ろ材を火山礫とした場合、ハナナが1作あたりの施設外に持ち出せる窒素、りん量は比較的高かった。生育期間が120日と短いので他の植物と組み合わせた栽培体系が必要となる。アップルミントは、年間を通した栽培が可能であるが、過繁茂となり倒伏し、下葉に蒸れが生じる場合があるので、刈り戻しを定期的に行い維持管理する必要がある。ろ材にゼオライトを用いた場合、カラーが1作あたりの施設外に持ち出せる窒素、りん量は比較的高かったが、年間を通しての栽培は夏季の黒色寒冷紗被覆による遮光等の昇温抑制対策と、冬季の加温が必要である。また、収獲物は切り花として商品化が出来る。4)植物を利用した水質浄化は、既存の水路、水辺、休耕田などを利用すると、低コストで環境に負荷が少なく、維持管理も比較的簡単であるといった利点がある。周辺住民の協力を得て定期的な維持管理を行うことにより、窒素やりんの再放出による水質の悪化を防止が可能となる。住民が協力的に参加することで、水質や環境に対する意識が向上し、施設が憩いの場の役割も担い、児童や小学生の環境学習に利用でき、今後実用化が期待できる。

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