豚人工授精センターにおける衛生管理実態調査

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  • ブタ ジンコウ ジュセイ センター ニ オケル エイセイ カンリ ジッタイ チョウサ

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抄録

流通精液を供給している全国の人工授精(AI)センターの飼養状況と衛生管理状況および希釈精液の製造状況等をアンケート調査し、現状の衛生管理の実態を解析し、今後の課題を検討した。アンケートを送付した36のAIセンターの内、農協および種豚会社等(民間)16施設、国や県(公共)7施設の計23施設(63.9%)から回答を得た。これら施設の種雄豚の総飼養頭数は、1019頭で、年間の更新頭数は、360頭であった。AIセンターへの立ち入りを許可する条件として、21施設(91.3%)で豚および養豚関係者との接触の禁止およびシャワー後に下着から服まで着替えるなどの対策を実施し、種豚の観察を10施設(43.5%)で認めていた。候補種豚の導入前の血液抗体検査として、オーエスキー病(AD)を21施設(91.3%)、豚繁殖・呼吸障害症侯群(PRRS)を20施設(87%)、ブルセラ病を3施設(13%)施設で実施していた。着地検疫は、17施設(73.9%)の施設で実施していたが、多くは30日未満で、最も長い施設は120日間であった。繋養種雄豚の種畜検査等で定期抗体検査として、ADとPRRSを23施設(100%)、豚コレラを8施設(34.8%)、レプトスピラを4施設(17.4%)で実施し、特にADとPRRSを毎月実施していたのが1施設(43%)、90日毎が2施設(8.7%)であった。また、ADおよびPRRSの精液中のウイルスPCR検査を、それぞれ3施設(13%)および4施設(17.4%)で実施していた。供給精液を通じての感染が危惧されているPRRSに関して、必要な着地検疫期間は60日で更に頻度の血液や精液の検査が必要と考えられるが、現状では一部のAIセンターの体制では検疫期間が短く、検査間隔が長いためウイルスが浸潤して供給精液を汚染する恐れがあり、養豚農家への伝播が危惧される。供給精液の検査体制について、既に自社の基準や検査でクリアーしている施設も存在するが、家畜改良増殖法規定以外の疾病についても養豚農家の希望に沿って検査体制を整備し、適切に管理された種雄豚から清浄な精液の供給に努める必要があると思われた。

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