無側枝性輪ギク「新神」の育成

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  • ムソクシセイ リンギク アラジン ノ イクセイ

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抄録

白系秋輪ギク「神馬」は,品質が優れるが側枝の発生が非常に多く,摘芽・摘蕾作業(以下,摘芽作業とする)に多くの時間を要する。摘芽作業は全労働時間の40%を占め,生産農家からは側枝発生の少ない品種育成の要望が高かった。そこで農業試験場では,平成9年度から「神馬」の優良系統選抜試験を行ってきたが,さらに効率的な選抜を行うため,平成12年度からバイオテクノロジー研究所と共同で,イオンビームという新しい変異原を利用した突然変異育種に着手した。平成13年度に,「神馬」の葉片にイオンビームを照射し,不定芽から再生させた約1万本の変異誘発個体群の中から,無側枝性を有する2系統(個体)を選抜し,平成15年6月「新神」及び「今神」と命名して品種登録出願を行った。「今神」は無側枝性が非常に強く,摘芽作業の大幅な省力化が可能であったが,母株の増殖が困難で実用性が問題となった。それに対して,「新神」は,母株増殖も可能で,かつ栽培気温の高い年内出荷までの作型では,「神馬」に比べて10~11月出荷で70%,12月出荷で30%ほど側枝の発生が少なく,省力栽培が可能であった。しかも花が大きく,切り花のボリュームもあり,生産者や市場の評価も高いため,平成16年度から県内農家への種苗供給が開始されている。

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