Babesia gibsoniの経胎盤感染が疑われた症例について

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  • Babesia gibsoni ノ ケイ タイバン カンセン ガ ウタガワレタ ショウレイ ニ ツイテ

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抄録

Babesia gibsoni(B.gibsoni)に不顕性感染している雌犬から6頭の仔犬が生まれ、このうちの1頭に生後8日目に重度の貧血が認められたので、血液検査をした結果、B.gibsoniの感染が確認された。さらに、同腹の他の1頭にも生後29日目にいたってB.gibsoniによる貧血症状が見られた。しかし、他の4頭はPCR検査と血液塗抹標本による原虫検査ともに陰性であった。感染発症した2頭の仔犬は輸血と高用量のClindamycinによる治療を行った結果、2頭とも治療効果が認められ、体重も順調に増加し、再発もなく、赤血球も正常値を示し、その後の抗体検査で十分な抗体価の上昇が認められた。なお、母犬は出産前後を通じて一般臨床所見には特に異常は認められなかったが、高い抗B.gibsoni抗体を示した。また、原虫は血液塗抹標本には確認できなかったが、PCR検査は陽性を示した。今回のバベシア症の自然感染症例から、B.gibsoniは経胎盤感染することが示唆されたが、感染は同腹仔の一部のみであったこと、また、発症した同腹仔犬でも発症時期に差が認められることが明らかとなった。あわせて、発症した新生仔の治療にはClindamycinが効果を示し、急性期治療薬として効果的であることが明らかとなった。

収録刊行物

  • 動物の原虫病

    動物の原虫病 20 (1), 13-18, 2005-12

    相模原 : 日本動物原虫病学会

参考文献 (23)*注記

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