串間市本城川河口干潟に出現する貝類と甲殻類

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タイトル別名
  • Benthic mollusks and crustaceans recorded from the Honjou River Estuary, Kusima, Japan
  • クシマシ ホンジョウガワ カコウ ヒガタ ニ シュツゲン スル カイルイ ト コウカクルイ

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抄録

串間市の本城川には約15haの河口干潟が形成される。宮崎県内に残された数少ない干潟の一つとして、また広い泥平底を特徴として、極めて重要な意味をもった干潟であると考え、2004年4月から12月まで底生生物相の調査を行った。本城川河口干潟で生体の確認できた貝類は、53種(腹足綱18科23属38種、二枚貝綱10科14属15種)であった。日本における干潟生物の現状を報告したWWFJの基準に照らすと、本干潟出現貝類のうち22種が絶滅危惧種であり、「絶滅寸前」とランクされたワカウラツボも含まれた。また「危険」あるいは「希少」と評価されるミヤコドリ等9種が干潟内で普通に見られ、貝類にとって良好な環境が残されているものと考えられた。特に、ウミニナ科のウミニナは干潟北部の砂質底の潮間帯上部に1664個体/m2の高密度での生息が確認された。また、本城川河口干潟を特徴づける干潟北東の泥平底では、フトヘナタリ科のヘナタリが潮間帯上部で最大で988個体/m2を、カワアイが潮間帯中部で36個体/m2を、フトヘナタリが潮間帯下部で92個体/m2を記録した。甲殻類は、13科25属33種が記録され、カニ類だけでも6科25種に達した。このような貴重な生物相の特徴から、本城川河口干潟は生物多様性の保全の視点で極めて重要な湿地であり、今後とも調査等を継続する必要が感じられた。

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