植物性エストロジェンとその代謝産物はウシ黄体の黄体刺激因子に対する感受性を抑制する

抄録

本研究は、植物性エストロジェンの活性代謝産物(equolおよびpara-ehyl-phenol)がウシ黄体に及ぼす影響について、1)ウシ黄体の黄体形成ホルモン(LH)に対する感受性、ならびにパラクラインあるいはオートクラインに作用する因子(prosaglandin E2 (PGE2) およびprosaglandin F2α (PGF2α))に対する感受性を抑制するかどうか、2)ウシ黄体からのパルス状プロジェステロン(P4)分泌に影響を及ぼすかどうか、を調べることを目的とした。未経産牛あるいは経産牛に、植物性エストロジェンが豊富な大豆(2.5 kg/animal/日)を含む飼料(大豆飼料)を給与したin vivo の実験では、標準的な成分の飼料(標準飼料)を給与した対照と比べて、血漿中および黄体組織中のequolおよびpara-ehyl-phenol濃度が高くなり、それに伴いP4濃度は低くなった(p<0.05)。PG類およびLHは、標準飼料を給与されたウシの黄体片からのP4分泌をin viroで強く刺激したが(p<0.01)、大豆飼料を給与されたウシの黄体片からのP4分泌は刺激しなかった。次に、植物性エストロジェンの活性代謝産物が、LH刺激による黄体からのパルス状P4分泌に影響を及ぼすかどうかを、マイクロダイアライシス法を用いて調べた。黄体をequolあるいはpara-ehyl-phenolで240分間潅流し、生理食塩水で潅流した対照とP4分泌を比較したが、基底分泌およびパルス状分泌のいずれについても影響は認められなかった。しかし、LH刺激によるP4分泌は抑制された。これらの結果から、植物性エストロジェン類およびそれらの代謝産物は、PGおよびLHにより刺激されるP4分泌を抑制することにより黄体機能をかく乱していることが推測された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ