ヒバ造林地の野ネズミ被害について

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植栽後5年を経過したヒバの造林地に野ネズミ被害が発生したので、被害形態や被害の生長へ与える影響について調査した。被害地は積雪1m以上の多雪地帯の山地で、被害は10000本/ha植栽の密植した造林地で多くみられた。なお、周辺は3000本/ha植栽の造林地で、そこではほとんど被害はみられなかった。被害を受けた造林地での野ネズミ捕獲調査で、アカネズミとハタネズミが複数頭捕獲されたが、野ネズミの種別の食性の違いから、ハタネズミを主体とした被害と思われた。造林木の幹下部から樹冠上部にかけて広範囲に剥皮食害される被害であったが、樹高1m未満、根元直径30mm未満の立木で被害は少なく、樹高1m以上1.3m未満、根元直径30mm以上35mm未満の立木で最も被害が多かった。しかし、それ以上樹高が高く根元直径が太くなると被害は少なくなり、樹高1.9m以上、根元直径45mm以上の立木では、食害程度の軽い被害が少数みられるのみであった。また、樹高が高く根元直径が太くなると被害部位が上方へ移行する傾向がみられた。なお、この造林地の平均樹高は1.4m、平均根元直径は35mmである。衰弱?枯死する立木の多かった幹樹皮が環状に食害される被害で、特に立木に与える影響が大きいものと思われた。しかし、幹樹皮が広範囲に食害されても、環状に剥皮されていない立木は、積雪により倒伏木が発生しても秋には直立して回復しており、また、カルスの発達により被害部の露出面が小さくなっていたことから、被害が立木の生長に長期間影響を与えるものとは思われなかった。

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  • 林業試験場報告

    林業試験場報告 18 1-20, 2007-08

    青森県農林総合研究センター林業試験場

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