イチゴの底面給水育苗におけるポットの材質と培養土の物理性が苗質に及ぼす影響

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  • イチゴ ノ テイメン キュウスイ イクビョウ ニ オケル ポット ノ ザイシツ ト バイヨウド ノ ブツリセイ ガ ナエシツ ニ オヨボス エイキョウ

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説明

近年のイチゴ育苗では炭そ病の発生が大きな問題となっている。底面給水育苗は炭そ病伝搬抑制効果が高く、その一方式である吸水性不織布を用いた底面給水育苗において、使用する育苗ポットや培養土の違いがイチゴ苗の生育に及ぼす影響について検討を行った。1.吸水性不織布を用いたイチゴの底面給水育苗では水耕液肥を潅水として施用すると防根シート上に藻が発生し、ポリポットで育苗したピートモス50%・もみ殻20%・マサ土30%の培養土(農試慣行培養土)の苗では根腐れが発生したが、ピートモス40%・パーライト40%・バーミキュライト20%の培養土(バーミキュライト混合培養土)の苗では根腐れしなかった。また、同様の培養土を用いて行った頭上潅水でのポリポット育苗では、バーミキュライト混合培養土の苗が農試慣行培養土の苗よりも生育が優れた。一方、同様の培養土を用いた不織布ポット育苗では、底面給水したポリポット苗で根腐れした農試慣行培養土でも根腐れせず、供試した2種類の培養土の苗がそれぞれポリポット苗よりも生育が優れた。2.底面給水育苗での施肥を置肥とし、藻の発生を抑制することで、マサ土を20%混合した培養土のポリポット苗でも根腐れせず育苗が可能であった。3.マサ土を混合した培養土の三相組成は、同量(体積比)のバーミキュライトを混合した培養土よりも固相率が高くなり気相率が低下した。また育苗中の培地温度は、マサ土を20%混合した培養土がバーミキュライトを20%混合した培養土よりも高くなった。4.以上より、イチゴを吸水性不織布を用いた底面給水システムで育苗する場合、培養土にはマサ土の代わりにバーミキュライトを混合した孔隙率が高く吸水性の高い培養土が適している。また、ポリポット苗の根腐れを防止するには、防根シート上への藻の発生を抑制することが重要であり、通気性の高い育苗ポットの利用も根腐れ防止には効果的である。

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