ミャンマー中央平地におけるイネ地方品種の収量関連形質の変異

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タイトル別名
  • Variations of Yield-related Traits of Rice Landraces in the Central Plain of Myanmar
  • ミャンマー チュウオウ ヘイチ ニ オケル イネ チホウ ヒンシュ ノ シュウリョウ カンレン ケイシツ ノ ヘンイ

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抄録

ミャンマーのイネ地方品種の収量関連形質の品種間変異を明らかにするために、出穂期の品種間変異の比較的小さい中央平地のBago管区とMandalay管区の92地方品種にミャンマーの高収量品種Manawthukha Yar2およびIR72を比較として加え、到穂日数、稈長、穂長、穂数、一穂重、一株穂重、一株地上部乾物重、籾千粒重、籾の長径と幅、収穫指数(HI)を調査し、解析した。92地方品種はいずれの形質に関しても大きな品種間変異を示し、改良品種に比べて、晩生、長稈、長穂で一穂重、籾千粒重が大きく、概して穂重型の品種が多かった。草型に関しては比較品種が短稈・穂数型であるのに対し、多くの地方品種は長稈・穂重型の草型を示した。地方品種の収量関連形質間の関係から、籾幅と籾千粒重との間には高い相関関係(r=0.60(**))が認められた。大粒型(b型)品種は籾幅が大きく、長粒型(c型)品種は籾幅が小さい傾向があり、籾の大小は籾長より籾幅の変異に左右されることがわかった。収穫指数と一穂重との間には高い相関(r=0.60(**))が認められた。収穫指数の大小は、改良品種では穂数に依存しているのに対し、地方品種では一穂重に依存する傾向があった。地方品種の特徴を総合的に把握するために、到穂日数、稈長、穂数、穂長、一穂重、籾千粒重、籾長、籾幅の8形質の相関行列を用いて主成分分析を行った。その結果、大粒のb型の品種はc型の品種に比べて相対的に第1主成分スコアーが大きく、晩生で籾千粒重が大きい特徴をもつことが分かった。中央地域の天水稲は、地形と降雨パターンによって洪水常習地帯あるいは時々洪水にあう冠水常習地帯に栽培されている。このような悪い水利条件下で栽培されているイネは雑草との激しい競合の下におかれていたため、栄養生長が旺盛で稈長の長い穂重型品種が有利になると推察された。

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