沖縄島北部における亜熱帯照葉樹林の第三段階構造と植物地理

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タイトル別名
  • The third stage structure and plant geography of subtropical lucidophyllus forest in the northern part of Okinawa, south-west Japan
  • オキナワトウ ホクブ ニ オケル アネッタイ ショウヨウジュリン ノ ダイ3 ダンカイ コウゾウ ト ショクブツ チリ

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抄録

沖縄島北部、国頭村安田区において、亜熱帯照葉樹林の山地天然林から人工林、海岸林に至る森林の第三段階構造について林分構造、植物生活形、植物地理の特性を調べた。1.調査プロットの林分個体数は風衝植生の山地上部で最大値を示し、標高が低下するにつれて減少する傾向にあった。基底面積は林分間で大差がなく、山地照葉樹林でha当り平均値58m(2)であった。種数はマングローブで極端に少なく、山地照葉樹林の林分間では明瞭な増減傾向は示さなかった。2.階層による個体数および種数分布は下層で高木種の幼樹、小高木種、低木種が多数を占めるL字型分布を示した。風衝環境にある山地林頂上および上部の最上層では、高木種と小高木種が混生する潜り込み型のような共存関係がみられた。3.植物地理は地形によって異なり、広域種を除いて、標高の高い立地では各階層とも日華区系種が占め、山地斜面の下部では高木層に琉球系種、下層になると琉球系種と東南アジア区系種が多くなった。海岸林では各階層とも南方系種が占めるが、海岸高木林の低木層は日華区系種が構成種となった。4.地理分布は地史と種子の散布様式に関係し、標高の高い立地の林分、とくに上層は重力散布型の大陸や日本本土との共通種、斜面下部や各立地の下層は鳥や風散布型の東南アジア区系種が分布し、海岸林では海流散布型の南方系種が構成種となると考えられた。

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