香稲(香り米) : こぼれ話

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  • コウトウ カオリマイ コボレバナシ

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香稲(こうとう、においいね)あるいは香り米(かおりまい)とは稲体あるいは米から独特の香りを発する稲あるいは米のことである。その香りの主成分は2-アセチル-1-ピロリンであり、最近プロリンからの香稲特有の生合成機構が調べられている。炊飯時に普通米に香り米を数%混ぜると食味の向上や古米臭の消去に効果があるとされ、わが国において香稲は古来珍重されてきたものである。現在でも小規模であるがわが国の香稲の栽培は存続し、また地域起こしの一環としても一部の地域でその栽培が復活している。また近年、新しく品種改良した数種の香稲も登場し、市販の香り米を容易に入手することが可能である。さらに、現在では輸入された外国産の香り米も容易に入手でき、またそれを使った料理をファミリーレストランで食べられる時代になっている。わが国における香稲に関する記録はすでに中世後期にあり、江戸時代に入ると諸国の農書や産物帳類などに香稲に関する記録が散見される。本報告はわが国を中心にした香稲の歴史や現状に関して従来の総説や解説などではあまり触れられていない余話的な話題を取り上げたものである。

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