内毒素血症に関与したウマの疝痛における腸間膜動脈の形態学的研究

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  • ナイドクソ ケッショウ ニ カンヨシタ ウマ ノ センツウ ニ オケル チョウカンマク ドウミャク ノ ケイタイガクテキ ケンキュウ

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抄録

ウマにおいて疝痛を伴った内毒素血症はしばしば発症する疾病であって、毒素によって腸間膜動脈には様々な程度の虚血、動脈の痙攣や壊死が引き起こされる。重篤な場合では、それらの臨床症状が疝痛の前駆的発症要因になることが報告されている。エンドトキシンが関与し疝痛を患ったウマでは、腸間膜の血管における障害はこれまでのところ大いに注目されてきている。そこで、この研究では内毒素血症を自然発症したサラブレットにおいて、腸間膜動脈の障害を形態学的に検索した。この研究で得られた結果は、腸間膜にみられる血管の組織構造に対するエンドトキシンの効果をより良く理解できるものと思われる。試料は3.0%グルタルアルデヒド溶液に固定後、Quetol 812に包埋した。包埋した電顕試料より厚切り切片および超薄切片を作製し、前者には1%トルイジンブルー染色を施した後、光学顕微鏡を用いて、後者には酢酸ウラニウムとクエン酸鉛による二重染色を行った後、透過型電子顕微鏡にて詳細に検索した。発症群では動脈壁において血管内皮細胞の剥離、出血像、歪な形を呈した中膜平滑筋細胞や融解壊死した顆粒球などの血液細胞、空胞などが多数観察された。これらの結果は、すでに報告されているウマの内毒素血症の組織像と類似しており、また、エンドトキシンにより腸間膜中の動脈が損傷を受け、ウマの腸管において臓器性Shwartzman反応が起こったものと示唆された。

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