岩手県の里地里山におけるスミレ属植物の分布及び管理の違いが個体群密度に及ぼす影響

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  • イワテケンノサトチ サトヤマ ニ オケル スミレゾク ショクブツ ノ ブンプ オヨビ カンリ ノ チガイ ガ コタイグン ミツド ニ オヨボス エイキョウ

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抄録

伝統的な里地里山の景観で構成される岩手県内陸部の農村地帯で、アケボノスミレ、ナガハシスミレ、オオタチツボスミレ、タチツボスミレ、ニオイタチツボスミレ、スミレ、アリアケスミレ、ツボスミレの8種が確認された。その種組成は景観区分(山腹林縁、山麓林縁、ため池林縁、ため池草地、畦畔草地)で異なっていた。種組成の違いはそれぞれの景観区分が持つ光環境や土壌水分条件に対応していると考えられた。放棄畦畔草地や放棄ため池草地では、スミレ属植物の出現頻度、自生程度はそれぞれの管理草地に比較し、極端に低下していた。種の多様性が低下した原因としては草刈りと水管理の放棄が考えられ、スミレ属植物は農村における持続的な土地利用と植生管理のもとに、その多様性が維持されていると考えられた。大規模な土壌の攪乱があった改修ため池草地では、伝統的管理ため池草地に比較して出現種数は少なくなったが、スミレ属植物の出現頻度、自生程度は管理畦畔草地並に維持され、林縁の主要構成種であるナガハシスミレの自生程度が高かった。林縁、水田という異質な環境に近接するため池草地の立地環境が、スミレ属植物の多様性の維持に関与していることが示唆された。

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