細粒強グライ土水田における稲わらの連用,連年焼却が水稲の収量と土壌に及ぼす影響

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抄録

水稲収穫作業の機械化に伴い、水田内に稲わらが排出されることが多くなった。このため、細粒強グライ土のような湿田において、稲わらの鋤込みや焼却などを20年間繰り返した場合の水稲収量及び土壌に及ぼす影響について検討した。稲わらの鋤込みが機械移植に与える影響を調査した結果、植付精度の低下は見られなかった。稲わらを焼却すると、m2当たり籾数が低下して減収する傾向がみられた。稲わらを鋤込んだ場合は、登熟歩合が低めで、作柄不良年には籾数不足も加わって減収する傾向がみられた。稲わらに石灰窒素を添加して鋤込んだ場合は、籾数が過剰傾向で倒伏を助長することから、基肥窒素量を減肥する必要がある。堆肥施用は収量が最も多く安定しており、湿田における有機物施用法として適している。トヨニシキは、ササニシキに比べて耐倒伏性が強く、稲わらに石灰窒素を添加して鋤込んだ栽培法で収量が多くなる。稲わらの連用は、堆肥施用と稲わら焼却より、土壌中の有機物含有量が増加し、土壌が柔らかくなってち密度は小さく、CECが高く、窒素無機化量が多かった。湿田において稲わらを鋤込む場合は、基肥窒素を側条施肥にして分げつの促進を図ったり、土壌改良資材の施用、中耕ガス抜きや作溝・中干しの実施及び幼穂形成期・減数分裂期の追肥を組み合わせることで、収量の低下等を改善できる。

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