農場発生事例からみたトリアデノウイルスの検出状況と疫学考察

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  • ノウジョウ ハッセイ ジレイ カラ ミタ トリアデノウイルス ノ ケンシュツ ジョウキョウ ト エキガク コウサツ

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抄録

2004から2008年にかけて、筋胃びらん等の病変が確認され、トリアデノウイルス(AAV)が検出された6症例について、疫学考察を行った。AAVは発症日齢に関係なく、筋胃病変部組織の核内封入体の存在に一致して、筋胃乳剤を接種した鶏腎臓細胞から高率に分離された。しかし、封入体の消失とともに分離率は低下し、AAV遺伝子のみ検出された。また、高いAAV中和抗体価が確認されたことから感染耐過が示唆された。野外発生例は全て肉用鶏で、飼養形態は開放平飼い鶏舎であった。2例は臨床症状が無く、出荷後の食鳥検査により摘発された。4例は、臨床症状を伴った農場内発生例であった。1例を除き、発生農場は同一養鶏組合に属し、同組合の種鶏場から初生ヒナを導入していた。発生日齢は7〜71日齢であり、特に7〜15日齢の幼若鶏では、筋胃潰瘍や吐血等の重篤な症状を示した。このような重篤例においても、経過とともに病状は回復した。死亡率は、最小0.72%/週〜最大1.00%/日を示し、筋胃びらんのみ呈した事例では低く、鶏貧血ウイルスや細菌、コクシジウム等の複合感染、飼養管理失宜が重なった症例では、顕著に高くなった。

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