土塗り壁の水平加力試験

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  • ツチ ヌリ カベ ノ スイヘイカリョク シケン

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抄録

奈良県内の土塗り壁の耐力壁としての強度性能を把握するために、伝統的な方法によって作製した土塗り壁の水平加力試験を行った。標準タイプの土塗り壁では、変形角が1/10rad以上となっても荷重が低下しない非常に粘り強い強度性能を示した。短期基準せん断耐力は真の変形角が1/150rad時の耐力で決定される6.8kNであり、これより壁倍率は1.9と試算され、建築基準法の告示で規定されている壁倍率の1.5を上回る優れた性能を示した。土塗り壁に厚さ45mmの筋かいをハの字に用いた小筋かいタイプおよび同様の筋かいを一間幅にたすき掛けした大筋かいタイプでは、短期基準せん断耐力はそれぞれ真の変形角が1/150rad時の耐力で決定される12.4kNおよび終局耐力で決定される15.3kNであり、これらより壁倍率は3.5および4.3と試算された。小筋かいタイプの実験値は、土塗り壁の規定値1.5に筋かい耐力壁の規定値2.0を加算した壁倍率3.5と同等であった。大筋かいタイプの実験値は、土塗り壁の規定値1.5に筋かいのたすき掛け耐力壁の規定値4.0を加算した壁倍率5.5より低くなった。

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