促成栽培トマトの収量に対する施設内の温度、相対湿度、飽差および二酸化炭素濃度の影響に関する現地調査

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本研究では、促成栽培トマトにおける施設内環境の実態を調査し、施設内環境要因と株当たりの総収量との関連性を解析した。2009年11月5日から2010年4月27日まで、茨城県つくば地域において、収量の異なる施設栽培トマト圃場4箇所の施設内環境要因を詳細に解析したところ、施設内の温度、相対湿度および飽差の日変動は圃場間にあまり差は無く、いずれの圃場も日中の換気により、相対湿度60~80%、飽差5~10hPaに保たれていた。一方、二酸化炭素濃度の日変動は圃場間差が大きく、特に夜間における二酸化炭素濃度に差が認められた。施設内の二酸化炭素濃度が最も高かった圃場は、果実調査における株当たり総果実重量が最も大きかった。この圃場では土壌への有機物投入量が調査圃場の中で最も多く、有機物に由来する二酸化炭素が土壌から放出されやすい条件であった。いずれの圃場も施設の立地条件や構造、生産者の肥培管理法などが異なるが、日の出以降急激に二酸化炭素濃度が低下し、晴天日の換気開始時刻には240ppmまで、曇天日の換気開始時刻には216ppmまで低下した。以上のことから、特に二酸化炭素施用を行わない施設でも、二酸化炭素濃度を意識した換気や有機物施用等の管理に注意する必要があり、またより積極的な二酸化炭素施用が既存施設におけるトマトの収量向上に寄与できる可能性があることが分かった。

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