西表島に生息するリュウキュウイノシシの遺伝的多様性解析手法の開発

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  • イリオモテ ジマ ニ セイソク スル リュウキュウ イノシシ ノ イデンテキ タヨウセイ カイセキ シュホウ ノ カイハツ

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本研究は、沖縄県南西諸島西表島に生息するリュウキュウイノシシ(RWB)の遺伝的特性およびその多様性を明らかにする基礎的研究と位置づけ、ミトコンドリアDNA(mtDNA)領域およびマイクロサテライトマーカー(MS)の多型を用いた遺伝的多様性解析手法の確立を目的とした。解析対象個体はRWB4頭を用い、家畜豚15頭(ランドレース純粋種(LR)7頭・交雑種(LW)8頭)を比較対照個体群とした。解析手法は、mtDNA D-loop一部領域の塩基配列(596bp)多型を用いたハプロタイプ再構成による系統樹作成と、遺伝的多様性評価のため17種のMSを用いて、平均ヘテロ接合度の観察値(Ho)および期待値(He)、アリル多様度(MNA:マーカー座毎の平均アリル数)、多型情報含有量(PIC)、ハーディーワインベルグ平衡(HWE)検定のP値およびF統計量による近交係数値(F IS)を算出した。mtDNA D-loop一部領域のハプロタイプ再構成より、24箇所の塩基置換多型(その中の1箇所は挿入)を含んだ13個のハプロタイプを同定した。系統樹解析の結果、家畜豚群とRWB群の大きく2つのクラスターに分岐した。しかしながら、興味深いことにRWBの1頭が家畜豚のクラスターに属した。これは、RWB群へ家畜豚の遺伝的移入の可能性があることを示唆した。MSを用いた解析結果より、RWB群のHo・He・MNAおよびPIC値は家畜豚(LR・LW)群よりも低い値を示した。また、RWB群のF IS値は家畜豚群よりも高く、近親交配が進んでいることを示唆した。以上のことから、今回実施したmtDNAとMSの多型を用いた西表島に生息するRWB群の遺伝的多様性解析手法は有用であると結論した。今後は、解析個体数を増加することにより正確かつ詳細な遺伝的特性およびその多様性の評価が必要であると考察した。

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