東京大学北海道演習林における採種地の違いがアカエゾマツ植栽個体の生存と成長に及ぼす影響

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  • トウキョウ ダイガク ホッカイドウ エンシュウリン ニ オケル サイシュチ ノ チガイ ガ アカエゾマツショクサイコタイ ノ セイゾン ト セイチョウ ニ オヨボス エイキョウ

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抄録

東京大学北海道演習林では,1945年からアカエゾマツの造林が開始され,2005年までに752haが実行されている。これまでその採種地として8林班の湿地集団(標高690m)や9林班の火山礫地(標高1,080m)が用いられてきたが,どちらの採種地が造林に適しているかは検討されたことがなかった。本研究では,これら2つの採種地に由来する種苗を用いた造林地と次代検定林を調査対象とした。造林地では,各採種地につきそれぞれ2ヶ所の造林地を33林班(標高430-440m)から選定し,2010年に各造林地につき126個体(7プロット×18個体)の生死と13年生時の樹高を測定した。次代検定林は2004年に58林班(標高400m)に12ブロックで設定された。次代検定林では,8林班産と9林班産でそれぞれ700個体(7母樹)と489個体(5母樹)の母樹別実生家系の生死,樹高,根元径を2004年,2006年,2007年,2009年の秋に調査した。造林地でも次代検定林でも生存率は採種地によらず高かった。造林地では,13年生時の樹高を応答変数,採種地と造林地を説明因子,プロットをランダム効果にした二元配置分析,次代検定林では,2009年の樹高および根元径を応答変数,採種地と母樹を説明因子,ブロックをランダム効果にした二元配置分散分析を行った結果,いずれも採種地は植栽個体の成長には有意な影響を及ぼしていなかった。本研究と既存研究を考慮すると,演習林内のアカエゾマツの採種では,山頂集団を除いて個体群サイズが大きく,アクセスや採種効率のよい集団を対象とするのがよいと考えられた。

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